アスリートなら誰しもセカンドキャリアについて考えたことがあるのではないでしょうか?
日本では、アスリートのセカンドキャリア問題が取り上げらることも少なくありません。
では、アスリートがセカンドキャリアを成功させるためは何を考えどんな行動をするべきなのかについてご紹介します。
アスリートのセカンドキャリアにおける課題
近年プロスポーツが盛り上がりを見せ、プロ野球やJリーグの他にもバスケットボールのプロリーグであるBリーグや女子サッカーのプロリーグであるWEリーグなども発足し、多くのアスリートが誕生しています。
その一方で問題視されているのが、アスリートのセカンドキャリア問題です。
では、アスリートのセカンドキャリアにおける課題とはどのようなものがあるのかについてご紹介します。
日本特有の終身雇用の考え方
日本では、いまだに新卒採用の終身雇用制度が主流になっている現状があります。
アメリカなどの海外に比べると転職率も低いため、そもそも企業が中途採用にあまり積極的ではないケースもあります。
これは日本の保守的な考え方も影響していると思います。
海外では、転職をして様々な会社で経験を積み自身の持てる力を発揮してキャリアを築くことは良いことだと考えられています。
しかし、日本の場合、「忍耐力がない」「何か性格に問題があるかもしれない」「またすぐやめるかもしれない」など転職に対してどこかネガティブなイメージを持っている人が多いのが現状です。
そのため、特にビジネス経験のないアスリートを、中途採用で採用することに社会全体が積極的ではないことが、アスリートのセカンドキャリアを難しくさせる原因の一つになっている。
ビジネススキルの欠如
多くのアスリートは、高校や大学卒業後にプロの世界に足を踏み入れると思います。
競技や人にもよりますが、平均して約10年前後のキャリアをプロスポーツの世界に投じると思います。
一方、同い年の多くの人はアスリートがプロになるのと同じタイミングでビジネスの世界に足を踏み入れます。
基本的には、新人研修でビジネスの基本を学び、業務を通して様々な経験を得るでしょう。
卒業後、かつての仲間に会った時に、学生時代から明らかに成長した友人に会って驚いた経験もあるのではないでしょうか?
もちろん、プロスポーツの世界もビジネスの世界もどちらも厳しい世界であることに変わりはありませんし、どちらが凄いということもありません。
しかし、企業がビジネス経験という観点から見た場合、アスリートはビジネス経験がないと判断されてしまいます。
例えば、営業職だった人が違う業種の営業に転職する場合は、業種は違えど営業経験があるということで、即戦力として考えられるでしょう。
一方、ビジネス経験のないアスリートの場合、ビジネスの基本を教えて営業方法を教えてなどの教育コストを考えた場合、どうしても経験のある人を採用しやすくなります。
こういった理由から、アスリートはビジネスの世界では、経験が少なため採用コストが高いと考えられてしまう現状があります。
アスリート自身の情報不足
セカンドキャリアにおける課題は、環境や経験などの外部的要因が全てではありません。
アスリート自身の情報不足も大きな課題です。
多くのアスリートは小さい頃からスポーツに打ち込んできたと思います。
そしてプロになるということは、努力を重ね厳しい競争に勝ち抜いてきた証だと思います。
しかし、その一方でアスリートはスポーツしかできないと考えられてしまうこともあります。
実際に、そういったアスリートも多いのが現状です。
自分には、スポーツしかないと考え、引退後もコーチやスタッフなどの選択肢しか持つことができないケースも多いです。
しかし、世の中には多くの仕事があり、引退後のアスリートが活躍できる場所は沢山あると思います。
「夢は知識」とよく言われますが、情報を知っているか知っていないかということは大きな差になります。
例えば、「あなたがサッカー選手になったのなぜですか?」と聞かれた時、多くのアスリートが小さい頃からプレーしていたからと答えるでしょう。
では、もしあなたがサッカーではなく野球をしていたら野球選手を目指していてもおかしくないのではないでしょうか?
要は、そのスポーツについての魅力や楽しさを知っているからプロを目指すのです。
どんな仕事があって、どんな業務があるのか、自分がやりたいことや興味があることは何なのか、これら全ては情報がなければ分からないのです。
だから、まずはアスリートでいるうちに、そのスポーツ以外の情報も積極的に収集することが大事です。
そうすれば、セカンドキャリアを迎えるときに多くの選択肢を自分の中で持つことができるでしょう。
セカンドキャリアを成功させるには

セカンドキャリアを成功させるために必要なことを解説します。
デュアルキャリアの実践
アスリートのセカンドキャリアということが昔からよく言われていますが、近年話題になっているのがデュアルキャリアです。
デュアルキャリアとは、アスリートとしてのキャリアと同時に社会人としてのビジネスキャリアも形成することです。
要するに、現役中にビジネス活動などのスポーツ以外の活動を行うことです。
例えば、サッカーの本田圭佑選手は現役中から事業を手がけたり投資を行ったり、様々なビジネス活動を行っています。
一昔前は、アスリートは競技に専念するべきという考え方もあったかもしれませんが、今ではその考え方は古いです。
アスリートこそ、様々な活動を行うべきです。
デュアルキャリアを実践することで、視野が広がり、引退後にもその経験を活かすことができます。
いきなり起業したり投資をしたりしろということではありません。
小さなことからでも良いので、スポーツ以外の業界の人と積極的に関わり、できる範囲で行動することが大切です。
最近では、アスリートのキャリア支援を行う会社などもあるのでそういった会社に相談してみるのも良いでしょう。
アスリートでいる内に行動することで、キャリアの幅が広がるでしょう。

資格やスキルを身に付ける
現役中に資格やスキルを身に付けることもセカンドキャリアを成功させる上で重要です。
ビジネスで使える資格やスキルは様々です。
例えば有名なところで言えば、簿記や宅建などを持っていれば、そういった資格を必要とする業界に就職しやすくなるでしょう。
他にも、例えばマーケティングに興味があればマーケティングに関する本を読んだり、実際にwebマーケティングなどを実践してみるのも良いでしょう。
プログラミングなども最近ではオンラインで学べる環境が整っています。
IT人材が不足している日本では、プログラムが書ける人は貴重な人材です。
プログラミングを学んでみるのも選択肢としては良いでしょう。
このように、学ぼうと思えば様々なものを学べる環境が揃っています。
現役中にこういった資格やスキルを身に付けることで、セカンドキャリアでも大きな武器になるでしょう。
他業種についての理解を求める
様々な業種についての理解を深めることも重要です。
どんな業種や職種があるのかについて知らなければ、引退後のキャリアを想像することができません。
そういった情報を知らないせいで、セカンドキャリアの選択肢を自分で狭めてしまうことになります。
まずは自分が興味のある分野について知ることが大事です。
実際にサッカー業界以外の人に会ってみることも非常に有効です。
そうして色んな業界の情報を得ることで結果的に競技生活にも良い影響を与えるでしょう。
そのお金はどこから生まれているのかなどについて考えることで、プロスポーツ選手としてすべきことも見えてくるのではないでしょうか。
情報を仕入れ、視野を広げることで競技生活にもその後のキャリアにも良い影響を与えるでしょう。
アスリートはセカンドキャリアでも活躍できる理由
アスリートのセカンドキャリアが社会問題になっていますが、過度に不安に思う必要はあります。
適切に準備し行動すれば、アスリートがセカンドキャリアでも活躍できる理由について解説します。
努力できる才能
アスリートは、いわばその道のプロです。
幼少期からそのスポーツを極めるために様々な犠牲を払って努力してきたと思います。
何かに本気で打ち込んだことがあるという経験は、紛れもなくあなたの武器です。
ビジネスの世界でも重要なことは、成長するために努力することです。
忍耐力があり努力することができる人材は、ビジネスの世界でも重宝される人材です。
就職活動で、体育会出身の人材が重宝されるのもこういった理由からです。
だから、努力できる道を見つけることができればアスリートのセカンドキャリアは輝かしいものになるでしょう。
コミュニケーション能力
ビジネスの現場において、コミュニケーション能力は大切な能力です。
アスリートはコミュニケーション能力に長けた人が多いです。
それは、スポーツの世界で自分を表現するために小さい頃から様々な人とコミュニケーションをとってきたことが大きいのではないでしょうか。
ビジネスの世界も結局は人と人の関わりです。
コミュニケーション能力があるということは仕事の関係を築く上でも有利に働きます。
コミュニケーション能力が高いということは、ビジネスの世界でチャンスをつかむ可能性が高いと言えるでしょう。
結果を出すことへの執着心
プロの世界は完全な結果主義の世界です。
結果が出なければクビになる厳しい世界です。
でもだからこそアスリートは結果を出すことへの執着心があります。
これはビジネスの世界では非常に重宝されます。
経営者は、売り上げが上がらなければ会社が潰れてしまうので結果にこだわります。
しかし、社員の中でそのように本当に自分毎として結果にこだわることができる人材は多くはありません。
なぜなら、日本の場合はクビになるということがあまりないからです。
でもだからこそ結果にこだわり売り上げを上げることができる人材は本当に貴重な人材です。
アスリートはプロスポーツという結果を求められる厳しい環境にいたからこそ当たり前に結果を意識することができます。
ビジネスの世界でも、結果を出すことにこだわることができれば、間違いなく素晴らしい人材になることができるでしょう。
アスリートがセカンドキャリアに向けてすべきこと

アスリートがセカンドキャリアに向けて考えるべきことについて解説します。
実現したいキャリアについて考える
現役中は、競技に100%集中することは非常に重要なことだと思います。
しかし、だからと言って自分のキャリアについて考えないというのは非常に勿体無いですし、現役引退後のキャリアを難しくしてしまう恐れもあります。
アスリートの競技人生は必ず終わりがきます。
早くから現役引退後のキャリアについても考えることは、決して無駄なことではありません。
自分が実現したいキャリアに向けて、適切な準備をすれば、現役引退後もスムーズにセカンドキャリアを進めることができるでしょう。
アスリートの世界で試合に向けて万全の準備をすることが重要なのと同じく、引退後のキャリアについてもしっかりと準備することが重要です。
そうすれば自ずとすべきことが見えてくると思います。
それに向かって行動していくことで、セカンドキャリアも素晴らしいキャリアを築くことができるでしょう。
お金の管理
現役中にお金についての知識を蓄え適切に管理することも重要です。
アスリートは現役中には、一般的なサラリーマンよりも高い給料を貰う場合も多いと思います。
しかし、逆にセカンドキャリアを迎えた時に現役時代と同じだけの給料を貰える人は多くはないかもしれません。
セカンドキャリアも見据えた上で、適切に資産を管理しなければ現役引退後にお金に困る可能性もあります。
しっかりとお金に関する知識を身に付け、貯金や投資などで適切に資産を管理することで、現役引退後のマネーリスクを減らしましょう。
まとめ
アスリートのセカンドキャリアの課題や成功させるためのポイントについてご紹介しました。
セカンドキャリアについて考え行動することで、アスリートのセカンドキャリアは素晴らしいものになります。
まずは、自分にできることから行動してみることで様々な世界が見えてくるでしょう。